対象者80歳前後、男性、訪問介護契約は行っていません。
ほどほどの関りはやむを得ませんが、介護保険サービス事業所の立場として深い関り及び厚い支援は避けたかったからです。
なぜ関りを避けたかったというと「言葉遣いが荒い」、「すぐ切れる(頭に血が上る)」、「自分でもよく分からないタクシーの頼み方をする」などの言動があったからです。
当事業所の福祉タクシーの利用者ということになります。
一人暮らしで生活保護
独居で、生保。
数年前(2015年頃)までは、一般タクシーで通院や買い物、引き落とし目的に金融機関などに行く際、利用されていました。
人となりなどわからないまま、同県内医療系の施設に入所(入所するだけの理由があったと思われます)
その後、本人が施設の生活を拒否、一人暮らしの再開を希望。
もともと一人自由気ままな生活が良かったのでしょう、再びアパートでの一人暮らしが始まりました。
加齢に伴い、筋力低下や疾患も増え、移動に車いすが必要な状態となる
アパート及び周辺は、移動するには適さない環境で、1階に住居があるのですが、2階への階段が車いすでの移動を妨げていました。
そのため、車いすでの移動は複数人で行う必要があります。
更には、広い駐車場があるのですが、除雪が行き届かなく、普通の車両であれば雪にハマって身動きが取れなくなってしまう、介護する側にとっては劣悪な環境でした。
夜間に自ら緊急搬送を依頼
お腹の調子が優れないと自分で認識すると夜間頻繁に119番通報をします。
日中も同様です。
最初は緊急出動していた消防署ですが、最近(2021年2月)は本人と電話で話して、夜間受診の必要がないと判断すれば出動せず、または消防職員が訪問して様子を伺い、受診の必要がないことを伝えていました。
統計をとると一日に数回119番通報があったようです。
消防署は、本当に緊急性が高い場合に出動しなかったら……「取り返しがつかないことになってしまう」という常に困難な事例であると捉えています。
私たちの事業所(一般タクシー)にも2021年1月までは、夜間頻繁に帰りの福祉タクシーの依頼がありました。
夜間または日中に緊急搬送で受診した場合
- 特に治療の必要がなく、帰宅しなければならない
- 入院の必要がなく、帰宅しなければならない
- 何れの場合も帰宅を余儀なくされ、歩行ができないので車いす専用タクシーで帰宅しなければならない
夜中の12時~3時頃に依頼があり、介護員は不在、病院側も利用者とタクシー会社の間に挟まれ苦慮するというのがいつもの状況です。
結局、一般の乗務員が普通のタクシーで対応、更にはもう一人ボランティア的に人を出させざるを得ません。
介助にあたったことがない乗務員なので、身体を痛め(特に腰)、しばらく仕事を休まざるを得ない状況、乗務員にとっても会社にとっても大きな痛手です。
支払いも「市役所につけて」……いやいや参ってしまいます。
夜の配車係には、どうにかしてほしいという訴えがあり、会社内がギスギスしてしまいました。
私は数日後の日中に訪問して「夜間の対応は困難である」ことを伝えましたが「わかった、わかった」と言うものの、いつもお掃除や買い物援助などで訪問している他の事業所のヘルパーさんが耳元で「わかっていませんよ」……。
更に数日後、ケア会議があり、以下の関係者が出席しました。
- 包括支援センター職員
- 消防署代表
- 担当介護支援専門員
- サービス事業所職員
- 市役所生活保護担当者
- 社会福祉協議会職員 など計10人以上が話し合いました。
その結果、以前利用していた「訪問看護」であれば夜間も利用できるので、利用できるよう働きかけることになりました。
訪問看護は主治医が必要性を認め「指示書」を作成してもらわなければ利用できません。
以前、利用者が夕方緊急搬送で受診した際「調子が悪いと思った段階で受診しなさい。非常識な時間帯に救急車を呼んで通院するとは何事ですか」とやや揉めてしまい、主治医が警察を呼んだいきさつがあります。
そのため、主治医との連携がこの困難事例を解決できるかカギを握ります。